1月の寒いころ、春になったら旅行したいなぁと思って、インターネットで旅館を検索すると「伊豆の踊子」の宿が空いていた。この宿はその主人公の学生が泊まった宿らしい。急に暖かい伊豆へ行ってみたくなった。実は川端康成の「伊豆の踊子」を読んだことがなかったが、それから2回読んで旅行に備えた。とても爽快な気持ちになる小説だ。
天気も良くて暖か、絶好の旅行日和。小説には出てこないが、浄蓮の滝をまず訪問。石川さゆりの「天城越え」を口ずさみながら、急こう配の階段を下りると、マイナスイオンいっぱいの滝。本ワサビの入ったアイスを食して一休み。しかし、さすがに帰りの急坂の登りは無口になっていた。
そのあと、学生が踊り子の一行を待っていた天城峠の茶屋あたりを散策。ここから伊豆の踊子の話が始まる。このつづら折れの旧街道を学生は踊り子の一行との旅をしながら、挫折した心をよみがえらせる力をもらっうことになる。
夜は湯ヶ野温泉、1月に予約した宿に宿泊。この宿では、踊り子が共同浴場から元気に手を振るのを見たり、一緒に碁ならべに興じたりした。本当に今、目の前で起こっているかのように感ずる。しかし、その共同浴場の上には、その後旅館が建ち、今は廃業のため工事の白いテントに囲まれている。実に痛々しい。伊豆の踊子から時間は十分過ぎるほど経ってしまったのだ。でも、やはり、学生と踊り子はその後どうなったのだろうとすごく気になる。
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