年縞とは湖沼の底にたまった縞々の堆積物のこと。福井県の若狭地方、三方五湖にある「福井年縞博物館」を訪問した。天気は今年初めてというほど晴れて暖かい。絶好のドライブ日和。三方美浜スマートICを出てすぐに端正な建物が見つかった。
早速入館。三方五湖のうちの一つの水月湖の湖底に1年につき約0.7mmの厚さの堆積物がたまり、7万年分が縞状に約45mも積もっているという。しかもかき回されることなく、綺麗にたまっているとのこと。それは、水深が深くて生物が底にいないこと、湖に入る川が全くないことなど、いろんな条件が整っているからという。
湖底から細くくりぬかれた資料45m、7万年分が観察できる。その画像である。見てても「別に」である。でも、縞々の1本が1年分。その中を調べれば、周辺に生息する植物や動物がわかり、気温もわかるという。「なるほど」。画像の真ん中の白い部分は喜界カルデラの噴火した火山灰が堆積したもの。屋久島近くで海底火山が爆発して日本列島全体に火山灰が飛んだという。それが約700kmも離れた水月湖の湖底にたまり、今このように目に見える形で残っている。しかも年縞から7,253±23年前の出来事と推測されるらしい。つまり、これは目に見える年代の物差しだ。「すごい」。
そのあと、レインボーラインをドライブ、山頂公園の天空テラスへ行ってきた。素晴らしい360度の展望、日本海と三方五湖がくっきり見える。その中で水月湖が一番色も濁り、暗くよどんでいるように見えた。しかし、実は一番素晴らしい神秘に満ちた湖。湖底に物差しの宝物が潜んでいる。
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