溶岩樹型とは火山が爆発し、溶岩流が流れ樹木を包み込み、そのまま固まったもの。樹木は燃えたり、長年の風化で朽ち果て、樹木の部分は空洞になっている。この写真は「船津胎内樹型」。富士山が864年に噴火し溶岩が流れ、倒れて折り重なった約5本くらいの樹木を包み込んで固まったもので、約68mの長さの洞窟となっている。
洞窟の壁は樹木の表面の模様がくっきりと残っていて、あばら骨にも見えたり、体の内部みたいにも感じる。この洞窟を通過することは、もう一度母親の体の中や胎内に入って、新しく生まれ変わってくることとなる。蘇るわけである。長年にわたり信仰の対象で、富士山世界遺産を構成する一つの遺産でもある。
直径50cmから1mくらいの洞窟が、そういえば、樹木が乱雑に重なっているかのような形に立体的に続いている。あいにく、狭い方の女性の胎内といわれる洞窟は前夜の雨のため浸水して通れず、男性の胎内といわれる大きめの洞窟だけを、苦労せずにくぐり抜けてきた。男性の胎内を巡っただけでは、やはり生まれ変わったような気にならなかった、残念。
この辺りの青木ヶ原樹海の中にも、たくさんの風穴、氷穴があるらしく、これも溶岩流の影響で洞窟になったものという。約1200年前の噴火や溶岩流の跡が今もしっかりと残っている。自然の力とは人間の想像を超えるもの。改めてすごーい。
Comments