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 最近、街を行く若者の多くが耳に白いものを付けている。ワイヤレスイヤホンである。 ワイヤのないあんな小さなもので本当に音が聞こえるのだろうか。きっと高価なものに違いない。落としたら大変だ。彼らを見るたびに、そんな余計な心配が頭をよぎっていた。

 実は、私にはイヤホンに関する少し苦い経験がある。 一つ前のスマートフォンを購入した際、それに合わせるためにワイヤ付きのイヤホンを買った。しかし、スマホとの相性が思うようにいかず、結局は接続するための高価なアダプターまで買う羽目になってしまったのだ。そんな苦労の思い出が詰まったワイヤ付きイヤホンだが、最近は少し時代遅れの感があり、街でもあまり見かけなくなってしまった。


100円ショップでの出会い

 先日、100円ショップに立ち寄ったときのことだ。なんと、件のワイヤレスイヤホンが売り場に並んでいるではないか。価格は税込1,100円。 100円ショップの中では最高峰の価格帯だが、自分が想像していたよりもずいぶんと安い。これなら失敗してもいい。そう思い、試してみるために早速購入した。自宅に戻り、取扱説明書を片手に四苦八苦が始まった。

  • ブルートゥース(Bluetooth)

  • ペアリング

これまで馴染みのなかった専門用語のパズルを一つずつ解いていく。 ようやくスマートフォンとつながり、YouTubeからお気に入りの音楽が流れてきたときは、投資が無駄にならなかったと心から胸をなでおろした。


遅れてきた文明の利器

 苦労の末に手に入れたワイヤレスイヤホンは、思ってもみなかった素晴らしい体験を私にもたらしてくれた。とにかく音がよい。そして軽くて快適である。ワイヤがないだけで、これほど使い勝手がよくなるとは驚きだ。若者たちの流行に、少しだけ追いつけたような満足感もあった。やはり、何事も食わず嫌いをせず、時代の変化には遅れないようについていきたいものである。大満足の買い物だったが、一つだけオチがついた。 私の耳に収まった白いイヤホンを見た妻が、ぽつりと言ったのだ。「白い補聴器に見えるね」と。

 
 
 
黒潮町のカツオのぼり
黒潮町のカツオのぼり

 高知に住む娘から、一枚の画像が届いた。調べてみると、それは黒潮町の伊与木川の上を泳ぐ「カツオのぼり」であった。後方にちらりと鯉のぼりも見えるが、カツオのぼりとは初耳である。色気には多少欠けるが、なかなか威勢が良く、かっこいい。健やかに泳ぐその姿に、土佐の初夏の息吹を感じる。

巨大タワーが「名物」

 この黒潮町は、大津波が襲った際の想定の高さが日本最大級の34mに達するといわれる。それに合わせ、町には巨大な津波避難タワーがそびえ立っていることでも有名だ。かつてこの町を通りかかった際、そのタワーを仰ぎ見たことがある。あれは、大津波の恐怖で背中を押されなければ、容易に登り切れる高さではない。このタワーがいつまでも町の名物にとどまり、実際に使用される日が来ないことを切に願わずにはいられない。

順調に季節を進める自然の営み

 視線を足元に移せば、紫陽花の葉が十分に茂り、その葉の間から花となる粒状の芽が顔を覗かせている。連休中に少し寒さが戻ったものの、紫陽花は次なるステップへの準備を万端に整えていた。今年も見事な大輪を咲かせてくれるのが楽しみである。冬の雪、春の桜、そして連休が終わり。自然は今年も順調に、夏という季節へ向けて歩みを進めているようだ。

株価高騰の裏側にある「経済の歪み」

 しかし、経済に目を向ければ、状況は一変する。日経平均株価が6万円を超え、一見すれば順調な活況を呈しているように映る。だが、その実態はどうだろうか。ホルムズ海峡の封鎖問題は何ら解決の兆しを見せず、その影響は実体経済の現場を直撃している。我が社の仕入れ商品においても、4月から7月にかけて、ほぼすべての取引先から値上げの案内が届いた。さらに深刻なのは、価格の上昇以上に「供給の不安定化」が顕著になっている点だ。

供給不足を懸念した注文の集中により、一時的に出荷停止を余儀なくされる会社も現れ始めた。主に包装資材関係が中心だが、品物があるうちに確保しようとする焦燥感が市場に漂いだした。

 自然界は今年も順調に夏を迎えようとしている。 だが、経済においては、想定外の「猛暑」か、あるいは凍りつくような「冷夏」が訪れるのではないか。そんな嫌な予感が頭をよぎる。予感が外れることを切に期待する。

 
 
 

 今年の句会の兼題は「米」であった。 そこで、ふと思い出したのは、昔の駅弁の光景で、蓋の裏にびっしりとこびり付いたお米。それを一つひとつ剥がしながら食べるもどかしさ。しかし、その「苦労」こそが旅の醍醐味であり、高揚感の始まりでもあった。そんな実感を込めた一句、幸いにもメンバーの心に響いたようだ。

 この句会で実になんと27年ぶりに最高得点を獲得できた。メンバーは高校の先生を中心に10人程の同級生だが、27年という、これほど間が空くのは確率的にはどうなんだろう?と頭をよぎるが、今はただ、素直に喜びを噛みしめている。

 さて、ようやく金沢にも春が巡ってきた。兼六園の桜は満開となり、わが問屋町のハクモクレンも真っ白に咲き誇っている。つい先日までの凍えるような寒さや積もった雪の苦労も、今日のような夏日を迎えると、まるで遠い昔のことのように忘れてしまいそうだ。人間とは、なんと現金で、そして救いのある生き物だろうか。嫌なことはすぐに忘れてしまう。

 しかし、目を世界に向ければ、春の陽気とは裏腹に不穏な影が色濃くなっている。 イランを巡る情勢は悪化の一途をたどり、ホルムズ海峡の封鎖や石油危機の足音が聞こえてくる。「石器時代に戻す」というトランプ大統領の威嚇はあまりに過激で、私たちが享受している平和がいかに脆い秩序の上に漂っているかを痛感せずにはいられない。この穏やかな春の景色が、どうか世界共通の風景であってほしいと願うばかりだ。

 
 
 
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