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俳句「駅弁の 蓋の米から 春の旅」

 今年の句会の兼題は「米」であった。 そこで、ふと思い出したのは、昔の駅弁の光景で、蓋の裏にびっしりとこびり付いたお米。それを一つひとつ剥がしながら食べるもどかしさ。しかし、その「苦労」こそが旅の醍醐味であり、高揚感の始まりでもあった。そんな実感を込めた一句、幸いにもメンバーの心に響いたようだ。

 この句会で実になんと27年ぶりに最高得点を獲得できた。メンバーは高校の先生を中心に10人程の同級生だが、27年という、これほど間が空くのは確率的にはどうなんだろう?と頭をよぎるが、今はただ、素直に喜びを噛みしめている。

 さて、ようやく金沢にも春が巡ってきた。兼六園の桜は満開となり、わが問屋町のハクモクレンも真っ白に咲き誇っている。つい先日までの凍えるような寒さや積もった雪の苦労も、今日のような夏日を迎えると、まるで遠い昔のことのように忘れてしまいそうだ。人間とは、なんと現金で、そして救いのある生き物だろうか。嫌なことはすぐに忘れてしまう。

 しかし、目を世界に向ければ、春の陽気とは裏腹に不穏な影が色濃くなっている。 イランを巡る情勢は悪化の一途をたどり、ホルムズ海峡の封鎖や石油危機の足音が聞こえてくる。「石器時代に戻す」というトランプ大統領の威嚇はあまりに過激で、私たちが享受している平和がいかに脆い秩序の上に漂っているかを痛感せずにはいられない。この穏やかな春の景色が、どうか世界共通の風景であってほしいと願うばかりだ。

 
 
 

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